公益財団法人 全日本弓道連盟

上達への道。

上達への道。

月刊弓道に連載中の「上達への道。」その第二話をご紹介。 弓道の基本や、 基礎知識などについて、 写真やイラストなど多彩に使用し、わかりやすく、読みやすい内容になっております。
第2回目は、素引き練習です。前回のゴム弓練習は、ゴム弓を使って射法八節の形や動作を練習しましたが、今回は実際に弓を持って行います。はじめの頃は弓に慣れずに、肩や身体全体に、余計な力がかかってしまうかもしれません。ですが、何度も練習することで、そのこわばりも解消できるはず。まずは地道にしっかりとこなして、きちんとした形や動きを習得しましょう。

月刊弓道

上達への道。vol.02 効果的な“素引き練習”で
基礎を習得する

はじめに覚えるのは、手の内のつくり方です。
手の内とは、左手でしっかりと弓を握ることです。正しく握ることができれば、的中率が上がるといっても過言ではないので、基礎を覚え、どうすれば調えられるかを確実に学んでください。
次のページで、ポイントを説明しているので、上手な手の内のつくり方をマスターしましょう。
次に覚えてほしいのは、バランス感覚です。
慣れないうちは、弓を持つと必要以上に力んでしまい、手首に力を入れ過ぎたり、身体がブレてしまったりすることがあります。
射法八節の動作には、それぞれの形がありますが、いずれも正しい姿勢を保つことがいちばん大切。そのカギを握るのが、バランス感覚ですが、これを養うには、練習を重ねるしかありません。
何度も素引きで練習をして、自然に会得できるように、鍛錬しましょう。何事もコツコツと、地道に頑張ることが近道となります。

弓

弓の張り方を覚えよう!

弓の張り方 弓の張り方 弓の張り方

①写真のように、弓を押さえる人が末弭(弓の上部にある先端)部分を、しっかりと右手の手のひらで押さえます。張る人は左手で握りの下あたりをつかみ、右手で弦輪を持ちます。
②次に張る人が腰をかがめ、左足の太ももに弓を乗せ、弦輪がピンと張るように左手で握りの下あたりを押しながら、本弭(弓の下部)に弦輪をかけます。
※弓張り板が設置されている場所では、指導に従って的確に張りましょう。

手の内のつくり方

射を決めるのが手の内です。ここでは、そんな手の内のつくり方の基礎を紹介します。

  • 手の内のつくり方1

    左手の「天紋筋」に
    弓を当てる

    「天紋筋」に弓と手のひらが直角になるように、弓の外竹の左角を当てる。その際、親指以外の指は伸ばす。

  • 手の内のつくり方2

    親指で
    弓をつかむ

    ⒈のまま、イラストにある親指と人さし指の間にある「虎口」にある皮を、弓にあてがうようにして巻き込む。このとき親指以外の指は、伸ばしたままの状態で。

  • 手の内のつくり方3

    包むような感覚で
    握る

    ⒉の状態から、人さし指以外は弓を包むような感覚で内側に曲げる。中指の先と親指のはらが離れないようにし、また親指の根元と小指の根元ができるだけ近づくようにする。人さし指は伸ばしても曲げてもよいが、指先が下に向かないようにする。

手の内の調え方を左右する
左手の手のひらの各部位

「天紋筋」は、手のひらにある小指側から人さし指に向かって伸びている線のこと。「虎口」は親指の根元と人さし指の間にある部分。この皮を弓に下から巻き込むのがポイント。

素引きでの右手は、
しっかりと握る

素引き練習では、弽をつけないで行うので、弦から指が離れないように、右手の4本の指でしっかりと握る!

素引き練習の基本を紹介

執弓の姿勢から
足を開いて構える

左手に弓を持ち、右手は腰に当て、足を左右に踏み開く。足を開く幅は、身長の半分くらいの長さで、その角度は60度が基本。

射法八節の1足踏み

重心を
腰の中心に置く

⒈の「足踏み」で調えた姿勢を保ちながら、両足の上に上体を正しく置く。腰をすえ、左右の肩を沈め、心気(気持ちや心のもち方)を丹田におさめる。

射法八節の2胴造り

左右のこぶしは、
同じ高さで

左手に持った弓を起こし、身体の中心あたりにもってくる。右手はしっかりと弦を握る。右のこぶし、左のこぶしは同じ高さにして、弓の下部にある本弭は左足の膝の上あたりに置く。このとき左手は、前ページで紹介した、手の内をしっかりとつくっておく。
※射法には正面と斜面
(弓構え~打起し)がありますが、
ここでは正面を説明しています。

射法八節の3弓構え

両腕を
しなやかに上げる

弓を持った左手、弦を持った右手を、呼吸に合わせて、しなやかに上にすくい上げる。両方のこぶしは、頭よりやや上にして、肩に余計な力を入れないようにする。

射法八節の4打起し

左右の肩、両こぶしが
平行になるように

両方のこぶしの高さをそろえながら、弓を持った左手を押し開く。右のこぶしは額の斜め上くらいの位置を目安にして右ひじを折り曲げる。左右の肩、左右のこぶしは、それぞれ高低差をつけず、平行になることが重要。調えた手の内の形が変わらないように注意する。

射法八節の5引分け

身体全体を使って
張り合う

⒌の「引分け」の状態のまま、両腕を左右均等に張り合う。背骨がまっすぐに上に伸びているか、足、肩、腰の3つの線が重なっているかなど、「ゴム弓練習法」で学んだ『五重十文字』の働きをイメージして、左右均等に伸び合うようにする。

いずれの動作のなかでも、顔をそらせたり、また逆にのぞき込むなど、身体の中心線をずらしてはいけない。つねにバランス感覚を保てるように努力しよう。

射法八節の6

監修/影山 一(全日本弓道連盟理事)
指導/山田紀之(埼玉県立川越総合高等学校弓道部顧問) 演武協力/埼玉大学弓道部
参考資料/『弓道教本第1巻』『弓道講座全4巻(DVD)』(いずれも全日本弓道連盟発行)
撮影/杉田賢治

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